日経ビジネス2000年7月号記事

「ビジネスプレゼンテーション記事原稿」


              (注:原文のため多少内容が異なります。図は省略します。)



景気が思うように回復しない中、IT産業への期待は大きなものがある。特にこの数年、IT産業を支えるパソコンの需要は急速に拡大して、 企業では一人1台の所有が当たりまえになってきた。パソコンの企業内での用途は、ワープロ、表計算、デザインなど多岐に渡るが、 最近新たな用途として、プレゼンテーションでの利用が増えてきた。
パソコンを使ったプレゼンテーションは、一般的にデジタルプレゼンテーションと呼ばれる。Microsoft PowerPointなどのプレゼンテーション支援ソフトが 一般的になり、これらを利用してプレゼンテーション資料を作った経験のある人も多いことだろう。 また、インターネットとプレゼンテーションとの関係も、今後より密接なものになっていくことが予想される。インターネットでのホームページの公開は、 まさに発信者のプレゼンテーションそのものである。WEBの発達により、インターラクティブなプレゼンテーションがオンライン上で可能になったわけだ。
従来はスライドを持参していた海外での学会発表で、自分のホームページにアクセスした画面を投影して見せることで、代用している人もいる。また、 Microsoft PowerPointのプレゼンテーションブロードキャスト機能を使えば、WEB上で大勢を相手にリアルタイムでプレゼンテーションすることも出来る。
インターネットを利用したプレゼンテーションのメリットは、何といっても膨大なデータを自由に検索出来ることだ。自分のホームページだけでなく、 関連するデータを自由に引き出せるメリットは計り知れないものがある。いずれプレゼンテーション会場に専用回線が引かれていることが当たり前になってくるだろう。
さて、従来、企業内でのプレゼンテーションでは、補助ツールとして、スライドプロジェクターやOHPなどの視聴覚機器が使われてきたが、 最近ではパソコンと接続して画面を拡大投影出来るデータプロジェクターの利用が急速に増えてきた。
データプロジェクターとは、従来からあるビデオ映像専用のプロジェクターをビデオプロジェクターと呼ぶのに対し、パソコンからの映像信号も 投影出来るプロジェクターを指す。
国内のデータプロジェクターの出荷台数は、(図1)の様に急速に拡大していて、今後も年率20%程の割合で伸びて行くと予想される。

データプロジェクターには各種の投影方式の製品があるが、最も一般的なものは、液晶プロジェクターである。液晶プロジェクターは、 ランプからの光を特殊なミラーで3原色に分解して、夫々の光を、映像信号で制御された液晶パネルを透過させた後、プリズムで合成して映像を投影する 装置である。(図2)この投影方式は、3原色液晶シャッター投影方式と呼ばれる。
液晶プロジェクターの生産シェアーでは、日本は圧倒的に諸外国をリードしている。最近の液晶プロジェクターは、軽量化、高輝度化されていて、 最も軽いものでは2kg台の製品もある。また、明るさはANSIルーメンという単位で表されるが、これは、画面上9個所の測定点の平均照度を示したもので、 この値が大きい程明るいプロジェクターということになる。最近では、液晶パネルの画素毎に微小レンズを組み込んで、光の利用効率を高めた マイクロレンズアレイ方式の開発、ランプ、光学系の改良により飛躍的に明るさが増大した。
現在、モバイルプロジェクターと呼ばれる軽量な製品でも、明るさは1000ANSIルーメンを超えている。この明るさは、数十人までの会議での利用には 十分なものだ。一般的に使われる重さ10kg以下の小型液晶プロジェクターで最も明るいものは3000ANSIルーメンに達する。 これ位の明るさであれば、数百人規模のホールでの利用も出来る。
明るさと共に、解像度も大事な要素だ。液晶プロジェクターに使われている液晶パネルはノートパソコンの液晶パネルと較べてはるかに小さく、 対角長で0.7インチから1.3インチほどである。この小さなパネルに50〜80万もの液晶画素が詰め込まれている。
現在パソコンの画面の解像度は、横1024画素、縦768画素のXGAと呼ばれる解像度が一般的だが、他にも(図3)のようにいくつかの解像度がある。 液晶プロジェクターの解像度は、パソコンの画面の解像度に追随してVGA(横640画素、縦480画素)からSVGA(横800画素、縦600画素)、 そしてXGAへと高解像度化してきた。
液晶プロジェクターの解像度が、パソコンの画面の解像度と一致している場合、最もきれいに投影出来る。これをリアルモード投影という。
最近のプロジェクターは、液晶パネルの解像度以外の映像信号がパソコンから入力されても、電気的に液晶パネルの解像度に変換して投影することが出来る。 これをリサイジング投影というが、リアルモード投影に較べると文字の輪郭がぼやける等、投影画像は多少見劣りする。 しかし、解像度の低い安価なプロジェクターでより高解像度の映像が投影出来ることから殆どの製品でリサイジング投影が可能になっている。
最近ではモバイルプロジェクターでもXGA解像度の製品が増えてきたが、10kg以下の小型液晶プロジェクターでは、 更に上のSXGA解像度(横1280画素、縦1024画素)の製品もあり、CAD,CAM、エンジニアリング関連のプレゼンテーションにも利用されている。

液晶方式以外のプロジェクターとしては、DLP(Digital Light Processing)方式を使った製品がある。
DLPプロジェクターは、米国テキサスインスツルメンツ社が開発したDMD(Digital Micromirror Device)を使った新しい方式のプロジェクターである。 DMDは微小な可動ミラーを解像度分集合させたチップで、液晶パネルが透過光で映像を生成するのに対し、反射光で映像を生成する。 DMDを1チップ使ったDLPプロジェクターは光学系の構造が簡単なため、液晶プロジェクターよりも更に小型化出来る。構造は(図4)の通り、 ランプからの光を、回転する3原色のカラーホイールで時分割して、映像信号で制御されたDMDチップに加え、その反射光を投影する。 投影映像は3原色で時分割された映像になるが、人間の目ではカラー映像として認識される。
明るさは、今のところ1000ANSIルーメン以下の製品が多いが、今後より高輝度化されるだろう。
これとは別に、DMDを3チップ使ったDLPプロジェクターでは、強力なランプを使用して明るさは10000ANSIルーメンに達する製品もある。 これは、近年中に展開が予想される、デジタルシネマでの活用が期待されている。また、ビジネスプレゼンテーション用途としては、 出席者が1000人を越すような大規模な会場での利用が考えられる。
DLPプロジェクターの解像度も、液晶プロジェクター同様XGA解像度が主流だが、DMDのチップサイズはXGA解像度で0.7インチにまで小型化され、 これに伴い1kg台の超軽量プロジェクターが製品化された。
(図5)に最近のデータプロジェクターの投影方式、解像度別に、重さと明るさについての製品マップを記す。
これを見ると、XGA解像度の液晶プロジェクターが、幅広く製品化されていることが分かる。また、5kgを境に、 モバイル機と据置機がはっきりと分かれていることも分かる。

次に、データプロジェクターを使用したプレゼンテーションのメリットは、以下のような点だ。 ・ 多人数でパソコン画面を見られるので、出席者の注意を集中し易い。 ・ 明室で使用出来るので、メモがとれ、手元資料も見ることが出来る。 ・ スライド、OHPの様にフィルムを作る必要がないのでコストの削減になる。 ・ パソコンからの映像は、会議の直前までデータの変更が出来る。 ・ 同様に、会議中にデータを変えて結果のシュミレーションも出来る。 ・ パソコン、ビデオの映像を自由に切り替えて投影出来る。 等である。
最近のデータプロジェクターは高輝度化されているが、コントラストのある、きれいな映像を投影するためには、次の様な注意が必要だ。
先ず、スクリーン面は出来るだけ暗くした方が良い。スクリーン上の映像の黒のレベル(濃さ)はスクリーン面の明るさで決まってしまうからだ。 データプロジェクターからの投影映像は光なので、黒レベルを下げることは出来ない。最もきれいに投影するには映画館の様に真っ暗にするのが よいわけだ。
しかし、会議ではメモをとったり、手元資料を見たりする必要があるので真っ暗にするわけには行かない。そこで、前方の照明だけでも消してスクリーン面を 暗くすると良い。暗くすることは、出席者のスクリーンへの集中力を高める意味でも効果的だ。
また、スクリーンの選択も重要な要素だ。スクリーンの種類には、ホワイトマットスクリーン、ビーズスクリーンなどがあり、 用途により最適なものを選択する必要がある。会場が明るい場合は、反射率の高いビーズスクリーンを使うと良いが、視野角は多少狭くなる。 教室のように横幅の広い部屋では、前方左右からも見やすいホワイトマットスクリーンを使い、反射率の低い分、高輝度なプロジェクターを使うと良い。

データプロジェクター選択のポイントは、次の通りだ。
・ パソコンとの解像度(画素数)の対応 
・ 投影画面の明るさ
・ 色再現性
・ 操作性
・ 重量、携帯性
・ 価格
等である。

解像度および明るさについては前述したとおりだ。
色再現性は、黒の再現性、グラデーションの再現性、各色の発色などがポイントだ。最近では各メーカーともビデオ映像の高画質化に注力していて、 DVDの映像なども美しく投影出来るデータプロジェクターが増えてきた。
操作性については、各種機能設定の方法、リモコンの使い具合、画面へのマーキング、ポインティング機能などを確認すると良い。
重量、携帯性については、客先でのプレゼンテーションに利用する場合は5kg以下のモバイルプロジェクターを選択すると良い。 この位の重さなら肩掛けバックに入れて、楽に携帯出来る。また、3kg以下の薄型モバイルプロジェクターでは、カバンに入れて持ち歩くことも出来る。 しかし、社内での利用が中心の場合は、6〜8kgの明るいプロジェクターを選択する手もある。
価格については、このところ一部のメーカーで、従来の価格帯を打ち破ったプロジェクターが出てきた。現時点では、XGAリアルモード機では698,000円、 SVGAリアルモード機では398,000円が最低価格機である。SVGA機ではすでに50万円を切る製品が各社から発売されているが、今後は主流となるXGA機 の低価格化が期待される。
更に安価になり、かつ軽量化されれば、モバイルプロジェクターを個人で購入するケースも増え、カバンに入れて持って歩き会社ではビジネスプレゼン用、 自宅ではホームシアターやゲーム画面表示用として使われることが考えられる。
データプロジェクターの用途は、ビジネスプレゼンテーション用としては、社内会議、セールスプロモーション、社員教育、セミナーなど実に 幅広く利用されている。 また、学会発表、教育現場、各種イベント、建築コンペなどでも数多く使われている。 最近では、レストラン、ブティック、美容院などで、店舗のショーウィンドウに取り付けた透過型のスクリーンにコマーシャルなどを投影する ウィンドウディスプレイ用途にも使われている。(写真1)
データプロジェクターの導入時には、カタログ上のスペックに惑わされず、出来ればショールームなどで、実際に使用するデータを持ち込んで 投影してみると良い。
しかし、各社の製品毎の比較となるとなかなか容易ではないが、レンタル会社などでは、最新のデータプロジェクターを集めた比較投影会を行うこともあり、 参考にすると良い。当社でも毎年、日経BP社と共催で、アジア最大のパソコンイベント「World PC Expo」の中で「デジタルプレゼンテーション最前線」 というコーナーを設け、データプロジェクターの比較投影会を開催している。本年は10月17日より、東京ビッグサイトで開催される。

データプロジェクター以外のプレゼンテーションツールとして有望な製品にプラズマディスプレイがある。明るい場所で、10〜20人位を相手に プレゼンテーションする場合には最適な装置だ。
プラズマディスプレイは自己発光方式で画像も高画質で明るく、視野角も広い。薄型なので会議室の壁にも 設置出来る。最近では50インチでXGA表示出来る製品もあり、各種インフォメーション用途を中心に普及しつつある。 ビジネスプレゼンテーション用としても、データプロジェクターによる投影スペースが無い、明室でも明るく見せたいといった場合には最適だ。 設置方法も台置き、壁掛け、天吊りなど自由度が高く,各種の取り付け金具が用意されている。プラズマディスプレイは、家庭用としても今後大きな需要が 見込まれる製品だが、現在のところ価格がネックになって普及はしていない。ビジネス用としては42インチの製品で実売価格100万円を切る製品もあり、 小規模な会議室への導入は検討に値する。

このようにプレゼンテーションツールも選択の幅が増えてきたが、プレゼンテーションの目的、場所、出席者数などにより最適なツールを 選択することが肝要である。しかし、ツールはあくまでプレゼンテーションの内容を補助するためのものであることを忘れてはならない。 派手な演出ばかりが印象に残るプレゼンテーションでは決して成功したとは言えない。  










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